気候変動の緩和と適応
理研ビタミンでは、企業活動による環境への負荷を考慮し、生産性の向上を図るとともに、エネルギーの効率的な利用を推進しています。
国内工場では、「照明のLED化」や「放熱抑制によるエネルギーロス削減」といった設備による省エネルギー化のほかにも、「製造方法の変更による設備稼働時間の短縮」といった運用の改善による省エネルギー化や、「冷却水の回収による水使用量削減」といった環境負荷低減の取り組みを行っています。また、各職場での「ECOパトロール」や「ECOステッカー」配布による活動の周知・PRや、使用エネルギーの「見える化」にも取り組んでいます。
オフィス部門においても、会議・資料のペーパーレス化や営業車の見直しを進めています。
GHG(温室効果ガス)排出量削減の中長期目標
理研ビタミングループでは、社会や自然との調和を図りながら事業活動を行うという「環境方針」の基本理念に則り、サステナビリティ委員会(GHG削減部会)で議論を重ね、GHG排出量削減の中長期目標を設定しました。
中長期目標では、理研ビタミングループとして2030年度までにGHG排出量(Scope 1・2)を2018年度比で40%削減、2050年度に実質排出ゼロにするカーボンニュートラルを目指しています。また、2023年度からScope 3の算定に着手しました。排出量の多いカテゴリについて算定を進めるとともに、GHG排出量削減目標の再設定を検討していきます。
2030年度目標に対する進捗※
2030年度40%削減(2018年度比)を目標としており、2022年度は省エネ活動を徹底するとともに、太陽光パネルの設置といった再生可能エネルギーの導入を進めました。
2022年度のGHG排出量は、基準年である2018年度比で30%削減されています。
対象 | 目標 | 2022年度実績 | 進捗 |
---|---|---|---|
Scope 1・2 | 2030年度 40%削減(2018年度対比) | 29.6%削減 | ◎ |
※算定範囲:理研ビタミングループ
エネルギー使用量の推移
-
※集計範囲:理研ビタミン 国内5工場+オフィス部門
※CO₂排出係数:電気事業者別排出係数による -
※集計範囲:理研ビタミングループ
理研ビタミン マテリアルフロー(2022年度)
※集計範囲:理研ビタミン(単体)
再生可能エネルギー
理研ビタミングループでは、工場の屋上などへ太陽光発電システムを設置し、CO₂排出量の削減と再生可能エネルギーの利用に取り組んでいます。
これまでに、国内外の5拠点(理研ビタミン アプリケーション&イノベーションセンター(千葉工場内)、草加工場、東京工場、大阪工場、天津理研維他食品有限公司(理研ビタミングループ会社))に導入しました。
導入拠点 | 導入年月 | 定格出力 |
---|---|---|
千葉工場 | 2019年7月 | 21kW |
草加工場 | 2022年3月 | 279kW |
東京工場 | 2022年12月 | 39kW |
大阪工場 | 2024年2月 | 112kW |
天津理研維他食品有限公司(中国) | 2022年5月 | 950kW |
フロン類の漏えい防止
空調や冷凍・冷蔵設備の冷媒として使われているフロン類は、大気中に放出されるとオゾン層の破壊や地球温暖化を引き起こします。理研ビタミンでは、フロン排出抑制法に則り、フロン類を使用している設備の定期点検・簡易点検を実施し、漏洩防止に努めています。2023年度の算定漏洩量は1,000トン未満で、法定報告義務はありませんでした。
また、設備更新の際には、オゾン層を破壊しない代替フロンや、地球温暖化への影響が少ない新冷媒を採用した設備の導入を進めています。理研食品(理研ビタミングループ会社)では、2023年度に設備を更新し、自然冷媒(アンモニア/CO₂)を使用した冷凍機を導入しました。
国内事業所の取り組み
オフィス部門の取り組み
オフィス部門では、働き方改革の一環として進めている取り組みを通じて、環境負荷の低減にも努めています。
2022年には働きやすさの向上、気候変動への適応などを目的に、オフィスカジュアルを採用したドレスコードを導入しました。
2020年に移転した本社では、カーシェア・レンタカーや公共交通機関の利用により「営業車ゼロ」を実現したほか、リモート面談の活用などで出張時間の効率化を図っています。また、請求・精算や外部契約をはじめとした各種社内手続きのDX化に取り組み、業務の効率化やペーパーレスを進めています。
「ライトダウンキャンペーン」の実施(理研ビタミングループ国内拠点)
理研ビタミングループの国内拠点では、2018年から毎年「ライトダウンキャンペーン」を実施しています。本キャンペーンは、屋外・屋内照明の消灯や節電アクションを呼びかけ、CO₂排出量の削減と地球温暖化防止に努めるとともに、従業員一人ひとりが地球環境保全の重要性を再認識する機会とすることを目的としています。
2023年度は7月3日~14日までをキャンペーン期間とし、7月7日(クールアース・デー※)には各拠点にてライトダウンを実施しました。
※クールアース・デー
2008年のG8サミット(洞爺湖サミット)が日本で7月7日の七夕の日に開催されたことを契機に、毎年7月7日がクールアース・デーと定められました。
「カーボンオフセット都市ガスバイヤーズアライアンス」への加盟
カーボンオフセット都市ガスは、天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生する温室効果ガスを、新興国などにおける環境保全プロジェクトにより創出されたCO₂クレジットで相殺すること(カーボン・オフセット)で、地球規模での温室効果ガス削減に貢献可能な都市ガスです。理研ビタミンは、カーボンオフセット都市ガスを調達・供給する東京ガス(株)とそれを活用する企業・法人とで構成される、カーボンオフセット都市ガスの普及拡大と利用価値向上の実現を目的として設立された「カーボンオフセット都市ガスバイヤーズアライアンス」に加盟しています。
2020年度省エネ大賞 省エネ事例部門「経済産業大臣賞」を受賞(草加工場)
「省エネ大賞」(主催:一般社団法人省エネルギーセンター)では、事業者や事業場などにおいて実施した他者の模範となる優れた省エネの取り組みや、省エネルギー性に優れた製品並びにビジネスモデルを表彰しています。
食品製造においては製品の品質が最重要視されるため、品質に影響を与える工程は省エネ活動の優先順位が低くなり、その結果“聖域”化する傾向がありました。
当社草加工場では継続的に省エネを進めるために、この聖域にメスを入れて品質の維持と省エネの両立を図ることが必要不可欠である、と考えました。これを行うには従来の組織では難しかったことから、組織改革をベースに省エネ活動に取り組みました。
この取り組みが評価され、2020年度省エネ大賞の省エネ事例部門において、最高賞にあたる「経済産業大臣賞」(CGO・企業等分野)を受賞しました。
物流部門の取り組み
物流部門では、船便やJRコンテナを利用したモーダルシフト、トラック輸送の積載効率の向上による環境負荷低減や、シートパレット使用による作業効率化に継続的に取り組んでいます。
具体的なCO₂排出量削減策として、「共同配送」、「小口配送の改善」、「生産場所から地方営業倉庫への直送化」、「幹線輸送の積載効率99%以上」等の取り組みに加え、配車効率向上につながる「配送リードタイム延長」の常態化に向けて検討を続けています。今後も物流品質の向上を目指すとともに、環境負荷低減への取り組みを進めます。
海外・関係会社の取り組み
理研ビタミングループの海外事業所においても、CO₂排出量の削減をはじめ、環境負荷の低減に努めています。
天津理研維他食品有限公司(理研ビタミングループ会社)では、照明をLED化したほか、2018年度、2021年度にはボイラーを更新しNOx排出量をはじめとする環境負荷の低減につながりました。
RIKEVITA (MALAYSIA) SDN.BHD.(理研ビタミングループ会社)では、コンプレッサーエアーの運用改善や使用量削減に取り組み、併せてコンプレッサーを更新したことでエネルギー使用量の削減につながりました。また、エネルギーコスト及びCO₂排出量の削減を目指し、ボイラー構成の見直しを行いました。
今後もCO₂排出量の削減と環境負荷の低減に向けて、運用改善や設備更新を行っていきます。
バイオマスインキの採用
理研ビタミンは、2022年2月より家庭用ドレッシングのシュリンクラベルに使用するインキとして、植物由来成分を含む「バイオマスインキ」を採用しています。
バイオマスインキとは、原料となる樹脂の一部を石油由来からバイオマス(再生可能な生物由来の有機資源)に置き換えたものを言い、今回採用したバイオマスインキは、乾燥後のインキ塗膜中に10%以上の植物由来成分を含んでいます。バイオマスインキの使用は、従来の石油由来成分を多く含むインキの使用に比べて製品ライフサイクルにおけるCO₂削減につながり、環境負荷の低減や持続可能な社会の実現に貢献すると期待されています。
ライフサイクルアセスメント(LCA※)
理研ビタミンでは、環境影響低減に配慮した製品を開発しています。製造、流通、消費者の使用・廃棄といった各段階を通しての、製品の環境への影響を把握するため、ライフサイクルアセスメント(LCA)手法による環境影響の算定を行いました。
※ライフサイクルアセスメント(LCA:Life Cycle Assessment)…原材料の製造から廃棄までのライフサイクル全体における環境影響を評価する手法
リケンのノンオイル 青じそ のLCA
2019年にリニューアルした、リケンのノンオイル シリーズ「青じそ」のLCAを算定しました。
リニューアルでは、軽くなって持ち帰りやすく、落としても割れにくい、ペットボトル容器を採用しました。
リニューアルの結果、ライフサイクルでのCO₂排出量が18%削減されました。
※パッケージ・算定結果はリニューアル当時のもので、現行製品とは異なります
リケンのノンオイル セレクティ® あめ色玉ねぎ のLCA
2018年にリニューアルした、リケンのノンオイル セレクティ®シリーズ「あめ色玉ねぎ」のLCAを算定しました。
リニューアルでは、軽くなって持ち帰りやすく、落としても割れにくい、ペットボトル容器を採用しました。また、ドレッシング生産設備も刷新し、包材の洗浄、殺菌方法の変更による生産性の向上が図られています。
リニューアルの結果、ライフサイクルでのCO₂排出量が15%削減されました。
※パッケージ・算定結果はリニューアル当時のもので、現行製品とは異なります