トップメッセージ

理研ビタミン株式会社 代表取締役社長 山木 一彦

2020年度を振り返って

2020年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大という誰にも予期できない、歴史的にも100年に一度の危機といえる事態が発生し、全ての業界・業態において、世界規模で影響を受けました。その渦中に、当社では中国の連結子会社である青島福生食品での不適切な会計処理、それに伴う決算発表の遅延、過年度決算の訂正等により、株主や投資家をはじめとするステークホルダーの皆さまへご心配とご迷惑をおかけしました。この問題では、二度にわたって特別調査委員会を設置し、多くの問題点を指摘いただきました。その提言を真摯に受け止め、再発防止に向けた改革に全力で取り組み、信頼回復に努めてまいります。
2020年度は、2021年3月までを対象とする前中期経営計画の最終年度であり、2021年4月からは新たな中期経営計画をスタートさせる予定でしたが、中期計画は1年延期し、ステークホルダーの皆さまからの信頼回復をはかるべく、ガバナンスの見直しを行う基盤整備の年にします。

新型コロナウイルス感染症による世界規模での経済停滞は、これまでに経験したことのない出来事であり、しばらくはこのウイルスと共生する「ニューノーマル(新常態)」へ対応していく必要があります。次の成長への基盤を作るため、見直すべきところは見直し、その先にある理研ビタミングループの目指すべき姿にむけて、前進していきたいと思います。

SDGsの達成にむけて

理研ビタミンでは、「天然物の有効利用を図る技術と商品で、人々の健康と栄養に寄与し、社会に貢献する」という企業理念のもと、事業活動を通して社会の持続可能な発展に貢献していきます。SDGsで掲げられた目標の達成を目指し、社会課題の解決に取り組んでいくことは、当社のグローバルなフィールドでの成長と企業価値向上につながります。
2019年には、当社として特に力を入れていく重点テーマ(マテリアリティ)を6つ特定しました。重点テーマへの取り組みを通じて、それぞれに対応するSDGsの達成にも貢献していきます。また、SDGsの目標はそれぞれが相互に関わっていますので、「だれ一人取り残さない」社会の実現にむけて、SDGsの全ての目標の達成を目指していきます。

カーボンゼロをはじめとする気候変動への取り組みがクローズアップされていますが、汚染防止や環境配慮といったECO(環境負荷低減)への取り組みは、天然原料の有効利用を事業活動の中心に据えている当社にとって、事業活動の持続可能性にも影響するテーマといえます。当社では以前から省エネルギー活動に取り組んできており、製造部門では環境視点で事業を見ることができる人材の育成を目指したECO委員会活動を進めてきました。その活動により、2020年度省エネ⼤賞の省エネ事例部⾨にて、草加工場が最高賞にあたる「経済産業⼤⾂賞」を受賞するという栄誉を授かりました。

6つの重点テーマのうち、「ダイバーシティ&インクルージョン」、「働きがい」、「研究開発」という会社全体で貢献していく3つのテーマは、当社の全ての事業に関係しており、持続可能な社会の実現に貢献していくことができると考えています。当社は、理化学研究所に起源を発し、天然物の有効利用をはかることをポリシーに研究開発を続けてきました。最近では、理化学研究所有本特別研究室との共同研究により、天然由来脂肪酸エステルを主成分とした薬剤に、スギ雄花の着花を抑制する効果を確認し、春のスギ花粉の飛散量抑制に役立つことが期待されています。

持続的な成長にむけて

私たちの目指す姿は、日本とアジアを中心に、食品、改良剤、ヘルスケア分野で持続的成長を遂げること、天然原料の有効利用と独自の技術力で、社会の変化に適応した健康で豊かな食生活に貢献していくことです。そのためには、付加価値の高い領域へ集中していく一方で、新たな需要を創造し、新市場を作り出すような新商品、新提案を世に送り出すことが必要不可欠です。いわば、既存分野、既存技術の深掘りである「知の深化」だけでなく、新規イノベーションや異分野への取り組みといった「知の探索」をおこない、これまでの枠組みを超えて、固定観念を打破して事業領域や専門領域の外に視野を広げていく必要があります。

これまで以上に、天然原料の有効利用をはかる技術と商品で、「豊かな食生活、社会的責任、創造力、グローバル、人間尊重」のキーワードで表現される経営理念に基づいて、持続的成長に向けた新たな一歩を踏み出します。