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ガバナンス

戦略

当社グループは植物油脂や海藻など、さまざまな天然物を原料として、製品を製造・販売しています。植物油脂関連原料のほとんどは海外から輸入されたものを商社や油脂メーカーから購入し、当社の工場で乳化剤などの製品に加工して、お客さまにお届けしています。また、海藻関連製品の原料の多くを占める養殖わかめは、養殖期間中の天候や、海水の温度および栄養状態によって生産量が大きく変動します。このため、気候変動は事業の継続性という観点からも、重要な経営リスクであると認識しています。
2022年度に当社事業のうち、植物油脂を主要原料とし国内外で生産する「改良剤」、および海藻・ドレッシング・スープなど国内で生産する「食品」についてリスクと機会の特定を行いました。特定にあたっては、パリ協定の目標である1.5℃ /2℃シナリオと、温暖化が進行する4℃シナリオを中心に財務影響度を評価しました。その結果、移行・物理的リスクの両面で原料調達に及ぼす影響と、物理的リスクが生産拠点に及ぼす影響が大きいことがわかりました。2023年度から対応策の検討を進めており、中長期の事業戦略に反映していきます。

シナリオ分析に基づくリスクと機会の一例

分類 変動要因 事業への影響 影響度 対応策 機会
1.5℃
/2℃
4℃
移行リスク 政策・法規制 炭素税の導入 全般的なコストの上昇
  • 省エネ活動の徹底
  • 再生可能エネルギーの導入
  • バイオマス燃料の活用
  • 植物由来化成品改良剤の需要増加(環境対応プラスチック・化粧品)
技術 脱炭素設備・生産方法への置き換え 生産体制の脱炭素化に向けた大規模な設備導入による設備投資費用の増加
市場 バイオ燃料の需要拡大 植物油脂調達コストの上昇、代替商品開発コストの発生
  • 調達地域の複数確保
  • 代替商品の研究開発
持続可能性を重視した顧客の購買行動 パーム油などの認証品調達コストの上昇
  • 徐々に増加する顧客ニーズへの対応
評判 エシカル消費の拡大 持続性に配慮した製品に対応できなかった場合の売上減少
  • 市場ニーズの変化に対応した商品開発
  • 多角的な経営を行うことによるリスク分散
  • 各事業分野で高付加価値製品の開発・拡販による差別化
物理的リスク 気温・海水温の上昇 原材料の生産量減少 調達コストの上昇、調達先切替コストの発生、代替商品開発コストの発生
  • 複数の安全かつ安定的な供給先確保
  • 長期見通しに基づく原料切替
  • 計画的な在庫確保
  • 顧客とのリスク情報共有
  • 気候変動に対応した種苗供給による海藻の安定調達
水調達リスク 生産拠点の水ストレス悪化 原材料調達先の操業停止、生産拠点の操業停止による売上高減少
  • 調査継続
異常気象の激甚化 洪水・豪雨の頻度上昇 サプライチェーンの寸断、生産拠点の操業停止による売上高減少
  • 事業継続計画(BCP)の見直し
  • 安否確認システムの導入
  • 従業員に対する訓練・マニュアル配布による啓発
  • 設備の耐震補強
生産拠点の固定資産への被害発生による既存資産の減損および新規資産取得に伴う再投資

影響度

  • 大:売上高比率10%以上、金額92.5億円~、経常利益比率30%以上、金額27億円
  • 中:売上高比率5%以上10%未満、金額46.2~92.4億円、経常利益比率15%以上30%未満、金額13.5~26.9億円
  • 小:売上高比率5%未満、金額~46.1億円、経常利益比率15%未満、金額~13.4億円

※2024年度業績予想数値(売上高925億円、経常利益90億円)をベースに算出

リスク管理

当社グループでは、業務執行に関連するリスクの評価、予防および発生時の対処のために、リスク管理委員会を設置しています。特定した気候変動にかかわるリスクについても全社のリスクマネジメント体制において管理しています。

指標と目標

2030年度までにグループのGHG排出量(Scope1・2)を2018年度対比で40%削減、2050年度に実質排出ゼロにするカーボンニュートラルを目指しています。
また、2023年度にScope3の算定を開始しました。排出量の多いカテゴリについて算定を進めるとともに、GHG排出量削減目標の再設定を検討していきます。