化粧品用増粘剤 Type BP

化粧品用増粘剤Type BPは、サルフェート型アニオン系界面活性剤において低添加量で優れた増粘効果を示すだけでなく、特に従来型の増粘剤では増粘効果が得られ難いベタイン系やポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、スルホコハク酸塩、アミノ酸系のタウリン塩においても優れた増粘効果を示します。本品は食品添加物として認められている化合物であり、安全性の高い化合物です。

1.Type BPの一般物性

INCI名,成分番号 Propylene Glycol Laurate,552551
性状 淡黄色、透明のほとんど無味無臭の液体(室温)
凝固点(℃) 5~10
比重 0.916 (30℃)
0.900 (50℃)
0.884 (70℃)
粘度(mPa・s) 19 (30℃)
11 (50℃)
HLB 4.5(計算値)
溶解性(25℃) <可溶>
・有機溶剤(エタノール, アセトン, n-へプタン)
・化粧品用油剤(油脂, 流動パラフィン, 高級アルコール, エステル等)
・プロピレングリコール
<難溶>
・水
・グリセリン

2.評価サンプル

増粘剤

サンプル名 化合物名 INCI名
Type BP プロピレングリコールモノラウレート Propylene Glycol Laurate
MEA ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド Cocamide MEA
他社品 ノニオン系界面活性剤 -

洗浄基剤

サンプル名 化合物名 INCI名
Betaine ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン Lauryl Betaine
LA-Betaine ラウリン酸アミドプロピルベタイン Lauramidopropyl Betaine
CO-Betaine ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン Cocamidopropyl Betaine
AES-TEA ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン TEA-Laureth Sulfate
AES-Na ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム Sodium Laureth Sulfate
AS-Na ラウリル硫酸ナトリウム Sodium Lauryl Sulfate
AMT ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム Sodium Methyl Cocoyl Taurate
LS-2Na ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム Disodium Laureth Sulfosuccinate

3.評価項目

  • 洗浄剤における増粘効果
  • pH による粘度変化
  • 起泡性
  • 低温安定性
  • 相互溶解度

4.評価結果

4-1.洗浄剤における増粘効果

4-1-1.ベタイン、サルフェート型界面活性剤における増粘効果

Type BPはベタインやサルフェート型界面活性剤配合において、低添加量で大きく増粘します。

配合
原料
洗浄基剤 20
増粘剤 2-6
精製水 to 100
測定条件
  • 配合1日目に測定
  • 測定器:SV型粘度計
  • 測定温度:25℃
図1.洗浄剤における増粘効果

×:ゲル化, 白濁

Betaine 配合
AES-TEA 配合
LA-Betaine 配合
AES-Na 配合
CO-Betaine 配合
AS-Na 配合

4-1-2.タウリン塩、スルホコハク酸塩における増粘効果

タウリン塩とポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムもしくはラウリン酸アミドプロピルベタインの併用配合において、また、スルホコハク酸塩とラウリン酸アミドプロピルベタインの併用配合において、Type BPは増粘効果を発揮します。

配合
原料
洗浄基剤 15-25
増粘剤 2-6
精製水 to 100
測定条件
  • 配合1日目に測定
  • 測定器:SV型粘度計
  • 測定温度:25℃
図2.洗浄剤における増粘効果

×:ゲル化, 白濁 未:未評価

AMT 20%単品配合
AMT 10%, AES-Na 10%併用
AMT 15%, LA-Betaine 10%併用
LS-2Na 5%, LA-Betaine 10%併用
LS-2Na 15%, A-Betaine 10%併用

4-2.pHによる粘度変化

Type BPは、ベタインやポリオキシエチレンラウリル硫酸塩、タウリン配合において、pH4, pH9の領域でも安定した増粘性を示します。

配合

原料
洗浄基剤 20
増粘剤 4
buffer(pH4※1, 9※2) or 精製水(pH6~7) 76

※1:0.1Mクエン酸緩衝液でpH4に調製

※2:0.1Mリン酸緩衝液でpH9に調製

測定条件

  • 20℃保管での経時の粘度測定
  • 測定器:SV型粘度計
  • 測定温度:25℃

図3.pH による粘度変化

×:ゲル化, 白濁

Betaine 配合
AES-TEA 配合
AES-Na 配合
AS-Na 配合
AMT単品配合

4-3.起泡性

サルフェート型界面活性剤やタウリン配合において、Type BP添加により増粘剤未添加に比べ起泡性の向上が期待できます。

配合

原料 %(終濃度)
洗浄基剤 0.1
増粘剤 0.02
精製水 99.88

※1:0.1Mクエン酸緩衝液でpH4に調製

※2:0.1Mリン酸緩衝液でpH9に調製

測定条件

  • ロスマイルス法で測定
  • 測定温度40℃

図4.ロスマイルス試験での泡立高さ

Betaine 配合
AES-TEA 配合
AES-Na 配合
AS-Na 配合
AMT単品配合

4-4.低温安定性

Type BPの添加による低温安定性への阻害は見られません。

配合

原料
洗浄基剤 20
増粘剤 4
精製水 76

※1:0.1Mクエン酸緩衝液でpH4に調製

※2:0.1Mリン酸緩衝液でpH9に調製

測定条件

  • 保存温度5℃
  • 目視評価(○:均一, 濁りなし×:分離, 白濁, 析出)

表1.低温安定性

添加剤 Betaine 配合 AES-TEA 配合 AES-Na 配合 AS-Na 配合 AMT 単品配合
1 day 7 days 4 weeks 1 day 7 days 4 weeks 1 day 7 days 4 weeks 1 day 7 days 4 weeks 1 day 7 days 4 weeks
Blank × × × × × ×
Type BP × × × × ×
MEA × × × × × × × × × × × × × × ×
他社品 × × × × × × × ×

4-5.相互溶解度

Type BPによる油剤のエタノールに対する溶解の寄与

Type BPを使用することで、エタノールに不溶の油脂、流動パラフィン等の油剤をエタノールに相溶できる可能性があり、各種油剤のエタノール処方の化粧品(化粧水, 整髪料等)への利用が期待できます。

図5.流パラ/Type BP/エタノール系の相互溶解度
図6.菜種油/Type BP/エタノール系の相互溶解度

エタノールによるType BPの水への溶解

エタノールの併用よりType BPを水にある程度溶解でき、Type BPの水系化粧品への利用が期待できます。

図7.水/Type BP/エタノール系の相互溶解度
  • 評価データは当社試験基準により作成したものであり、製品の性能を保証するものではありません。
    本品の性能は使用時の諸条件により異なる場合がありますので十分ご検討の上、ご使用ください。